湿度と腐食速度の関係/温度と湿度の関係について
湿度と腐食速度の関係
電子部品の使用環境においては表面で水滴が生じる状況はほとんどありません。それにも関わらず腐食が起こります。これには、空気に溶け込んだ水分が関係します。空気中の水分量は、気温の変化によって大きく変化し、その溶解量は相対湿度で表わされます。冬の寒い日の朝には空気に溶け込めなくなった水分が窓ガラスや壁面などに結露することはよく目にする光景です。結露に至らないような状況においても大気と接触した金属表面では、吸着した水の薄い膜が形成されています。
下図データは、金属上の吸着水量および金属の腐食速度と相対湿度の関係を表したものです。
相対湿度65%以上になると水の吸着量が急激に増加し、この領域以上で腐食速度も急速に増加していることがわかります。この湿度は腐食発生の臨界湿度と呼ばれ、この値以下の湿度ならば清浄な金属は腐食を抑制できることになります。 腐食を促進する要因には、吸着イオンや腐食性ガスがあります。
引用文献:「電子部品の腐食損傷と分析」大阪府立産業技術総合研究所
温度と湿度の関係について
湿度は蒸気圧表から求めることが可能で、例えば下の図から、日中稼働している装置内が50℃-10%と仮定すると、停止時に10℃まで低下した場合、湿度が100%に達します。同様に20℃を下回ると、相対湿度が60%を超え、腐食速度が増加することがわかります。また、キャビネット内の温度を上げると圧力が若干高くなるため、水滴やホコリが侵入しにくいという利点もあります。腐食環境から隔離するには、腐食性ガスあるいは外気の遮断、集塵フィルタの設置、除湿が効果的です。
改善事例:盤用ヒータで腐食対策『ポイントは温度差の抑制』
これまでの説明をまとめるとポイントは次の2点です。
・相対湿度が65%を超えると水の吸着量が急激に増加し、これに伴い腐食速度も加速する。
・相対湿度は日中と夜間などの温度差によって増加する。
つまり、温度差の抑制が結露を軽減し腐食の対策となることがわかります。では、温度差の抑制にはどのような手段があるのでしょうか?ここでは、一例として盤用ヒータ(スペースヒータ)を使った対策をご紹介します。
現象
マシニングセンタの切削油を火災対策のため油性から水溶性に変更したところ、マシニングセンタ内部の制御回路が短絡して故障するトラブルが発生した。
原因
マシニングセンタ内部の相対湿度を測定したところ、65%以上に達する時間帯(青)があることが判明した。水溶性の切削油の水分が蒸発して湿度が上昇した後、装置を稼働させない時間帯(夜間や休日)に温度が下がっ たことでさらに湿度が上昇し、結果的に制御盤の基板に結露が発生。翌朝、結露が発生した状態でマシニングセンタを稼働させたため、電気部品が短絡を起こして故障したと考えられた。
対策
ヒータを制御盤内に取り付け、制御盤内の温度を一定に保つ対策を講じた。その結果、相対湿度を50 %以下(赤)に保つことができ、結露を防ぐことができた。
ヒータの設置による相対湿度の変化 |
◆測定期間 8月~9月(グラフのデータは1週間分を抜粋) ◆設置場所 山形県鶴岡市(屋内) ◆制御盤のサイズ W 1.0 × D 0.8 × H 1.9[m](完全な密閉構造ではない) ◆設置したヒータ 200W×1台 ◆その他 湿度スイッチと温度スイッチを使用 湿度スイッチ:相対湿度が50%以上でONするように設定 温度スイッチ:温度が10℃以下でONするように設定 |
オリムベクスタでは8W~400Wまで豊富な盤用ヒータをご用意しています。またお客様の用途に最適なヒータをお選びする選定サービスも行っております。
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タイプ | 局部加熱タイプ | 自然対流タイプ |
強制対流タイプ |
熱源 | PTCヒータ | PTCヒータ | シーズヒータ |
容量 | 8~13W | 10~150W | 100~400W |
電圧 | AC/DC90-110V.AC/DC120-240V | AC/DC90-110V.AC/DC100-120V.AC/DC120-240V |
AC100V.AC200V |
取付 | ねじ | DINレール | DINレール |
WEBショップ価格 | 3,400円~ | 5,050円~ | 14,450~ |
PTCヒータとは?
PTCヒータはPTCサーミスタの特性を利用した加熱用部品です。PTCサーミスタは電気を流すことで自己発熱します。スイッチを入れた後、電流が流れて温度が上がると次第に電気が流れにくくなる特性を持っています。温度が上がると抵抗値も上がる性質によって、温度は緩やかに上昇した後、ある一定の温度で安定、消費電力量も少ない値で安定し、省エネといえます。「省エネ」「簡単制御」「安全」なのがPTCヒータです。
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